密閉型の小型Newモデル DISK Eと自動給気補正モデルの検証と、講習会の話 2

続きです

それでANIAのレオナルドシステムのことですが。

その前に。

当店で室内負圧を希望する値に設定させられる理由は、この設備が入っているからです。各ダイヤルの室内負圧を測定しておいて、その条件下でストーブをテスト燃焼させているのです。Pa値を自由に設定できるので、ここ数年各社から要請をいただいて、当店にて試験機やNewモデルのテストをしている、といった次第です。

https://www.facebook.com/renewable.small/posts/2538157679806738

本題に戻ります。

今回のこの検証の山場では、講習会参加者はほとんど残っていませんでした。なんせ、ストーブ屋のかきいれ時に開催した講習会で、しかも皆さん遠くからの参加ですから。帰らなければならない。(しかし、寒い冬の間でないとストーブの検証がきちんとできませんので、どうしても繁忙期の開催となってしまいます)

たいへん希少な機会でしたが残念、数名での検証となりました。

北越融雪さんからこれまで聞いていたのは、

レオナルドシステムの目的は、

室内の負圧をキャンセルすることよりも、

煙突によって強すぎるドラフトが生じた際に、

排気ファンの回転数を下げて適切な燃焼を維持する、

というものでした。

もちろん回転数を上げて室内負圧の影響をキャンセルする機能もあるでしょう。しかし、それは主目的ではないようだ、と。

ヨーロッパでは、薪ストーブの断熱煙突にペレットストーブの排気筒を接続するという設置のケースが普通にあります。こういう場合は、相当な強いドラフトを生じさせるため、時に過燃焼になったり、ペレットが燃焼皿内で十分に燃える前に、強い気流で燃焼ポットから飛び散ってしまうことがあります。灰受けの燃え残りが増える。もったいないです。

そういう時には排気ファンの回転数を下げる必要が生じます。こうした経験を実私も実際にしています。

室内負圧の変動を計測し、排気ファンの回転数をコントロールしている、ということは。負圧が強くなっても弱くなっても対応できるんじゃないの?

実際はどうだったでしょうか。

結論は。

レオナルドシステムの可動域を広げることによって、現状の日本の高気密住宅の最も厳しい条件程度でも安定して燃焼を維持させることができそうだ、というものです。

内容を詳述します。

・デフォルトの回転数可動域のままだと、対応できる室内負圧の上限(絶対値)は、-40Paくらいであった。

・可動域を広げると最小出力時に-70Paくらいまで追随し、エラーを出さずに運転可能。これを超え出すとエラーはまだ返さないものの回転数が足りなくなり、(空気不足となって)適正燃焼から外れだす。出力を上げた場合はより回転数を必要とするので、全出力域で適正燃焼を維持できるPaの限界は、安全猶予もみて、おそらく-50Paくらいではないか。

・可動域を広げても、室内負圧があまりに短時間に急変すると制御が追いつかず、エラー、停止となる場合もある。(レオナルドシステムによる回転数アップは、負圧急変時でも段階的になっている感じ。一気に上げ下げしない。よって、負圧センサーへの応答時間とレオナルドシステムの応答時間の差で、短い方に合従って動かしている感じ。正確な仕様は北越融雪さんに確認してもらいます)

レオナルドシステムは、可動域を広げたからと言って、常に回転数アップするわけでもダウンするわけでもなく、適正炉内圧を維持できる回転数に調整しようとします。もっと回転数が必要になった時の上限が、デフォルトのままだと調整できる範囲が狭いので、厳しい室内負圧条件下だと(安全側に制御するため)エラーになってしまう。この可動域をレオナルドシステムでは変えられるようになっているので、広げてさえおけば、おそらく現状の日本の高気密住宅において、最も厳しい条件でも安定して燃焼を維持させることができそうです。
というものです。

この実証ができました。

生データは掲載しませんが。

機械側がこれだけしっかり制御してくれると、ディーラーの力量があまり問われなくなっていくのでしょうね。普及にはハードルを下げないと。

室内負圧条件下でFF(外気導入給気で強制排気)とFE(室内からの自然給気で強制排気)でレオナルドシステムがどう反応するか?これも今回もやりまして。(過去に別のメーカー、機種にて何度か実施してきています)

実は、ほとんど変わりません。

完全に密閉なら、負圧をゼロにした時とFFで同じ制御(回転数)になるはずです。しかし実際には同じになりません。室内負圧の影響は、扉ガスケットほかの隙間からFEとほぼ同様程度に受けています。室内負圧をきつくすると、FFでもFEでもほぼ同程度の回転数調整が必要になります。これは確認できています。

炉本体やタンクからの顕著な漏れはなさそうです。排ガスセンサーをガスケット回りに近づけても反応しません(漏れは検出されません)。稼働中は炉内が負圧になっていますから。

どこまで対処するかですが。ガスケット(扉ほかのガラスロープ製のパッキン)が一番の課題のようです。ガスケットがへたる前に交換していかないといけないかな。特にシールドストーブでは。

結論再掲。

ANIAほかのレオナルドシステム搭載機は、室内の負圧変動に応じて最適な排気ファン回転数に自動で調整してくれる。ただし、デフォルトでは調整域が足りないことがあるので、厳しい室内負圧が想定される設置条件では予め可動域を広げておいた方がよい。

これだけ覚えておけばOKですね。
こうした実証を積み上げていくのは楽じゃないですけどね。楽じゃないけど楽しいですね。これでもうちょい儲かれば言うことなし!

貴重な確認ができました。機会をいただいた北越融雪さんに感謝申し上げます。

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