2019年 7月版 参考文献

年数回、講習会や研修会でのプレゼンテーションのご依頼をいただいております。
その際にお話ししている内容の根拠となっている各種資料、文献のリストです。参加された皆様は振り返って確認する際にご参照ください。
ストーブそのものについての文献ではありません。PIAZZETTAであればパラメーター表とその解説が技術資料そのものです!

※7月中旬にグリーンフッドさんからのご依頼で、今年2回目のPIAZZETTA/ペレットストーブ講習会を予定しており、それに向けた資料集です。販売店講習につき一般参加はできませんが、興味のある方にご参照いただければと思い紹介します。関係者に向けた紹介の仕方になっていますので、その点はお許しください。

以下、リンクはつけてありません。お手数ですが選択して右クリックにて検索してください。
※書籍は 『 』 で括ってあります。ネット上でPDF等で公開されているものを 「 」で括りました。
※私自身が作成したプレゼンテーション資料は掲載しておりません。

■ペレットに関すること

『地域ではじめる 木質バイオマス熱利用』 第2章 木質バイオマス燃料とは
ペレット成形に水素結合が寄与していることが紹介されたのはこれが初めてでしょう。またクリンカー生成に影響する灰軟化点に影響する成分についても。

『熱電併給システムではじめる 木質バイオマスエネルギー発電』 第5章 木質チップとペレットの燃料特性および品質規格
ペレットクラブ小島さんのご尽力と貢献に頭が下がります。充実した内容です。

追記します。樹種ごとの灰の組成については本稿や下で挙げている『木質資源とことん活用読本』 の中の樹種ごとの資料(森林研究所の吉田さんがまとめた欧州の文献)でも、はっきりしたことがわかりません。
講習会では写真付きで紹介しますが、同じ山で伐採したスギ(+ヒノキ、サワラ混)とヒノキ100%のペレットでの私が行った燃焼テストにて、クリンカーの生成の度合いが見た目ではっきり違いを確認できる程度に現れます。組成が最も影響しているだろうと想像しつつも、果たしてそれだけが主要因なのか?検証した研究はまったく存在しないのが日本の現状と言ってよいと思います。

『地域力で活かすバイオマス』 第3章 経済的なバイオマスの利活用 ペレット製造工場を例に
ペレットプラントが経済的にペイするための条件や各プラントの採算状況についても紹介

「JPA(一般社団法人日本木質ペレット協会)木質ペレット品質規格(20170227)・解説」

「バークペレット燃焼時におけるクリンカの生成と防止に関する研究」
スギのカスケード利用を拡充させていくために必要不可欠な研究。その手段はISO/EN規格とバッティングします。JAS規格制定時にどうするか重要な課題。ISO踏襲ではスギのカスケードでクリンカー抑制ペレットは不可能なのではないか?最近の海外での議論を踏まえると、今後の世界のバイオマス利用ではカスケードが不可欠の条件になっていくと思われます。スギの性質を考慮しますとJASは独自規格でよいのではないかと考えますが、ISOでの議決に関与するためにはJAS規格も整合性が求められるのでしょうか?

「木質ペレット燃料の市場と需給構造、固体木質燃料の品質保証について」
世界の状況はこんな感じです。規格の項目についての写真入の紹介があり、詳しいので、熟読した方がよいです。

ロッテンブルグ林業大学 ペルツ教授 特別講義資料2018年 
豊実精工さんでの特別講義 エミッションにペレットの化学的な組成だけでなく物性も影響する、という話あり。

■政策に関すること

『木質資源とことん活用読本』 
ここで、2006年からの間伐材→ペレット利用の流れの背景について確認。「三重の下駄」と言ってる話の背景です。文献としては古くなってしまっているので、読む方は『〇〇ではじめる』シリーズに記載の内容で情報を更新してください。

『森林吸収源、カーボンオフセットへの取り組み』
京都議定書で認められた森林吸収の功罪(本書にて功罪とは書かれていませんが)

『林業白書』
重要な政策転換が進行中です。針葉樹の単層林から小規模皆伐して育成複層林へ、また天然更新へ。所有に関しても。

木質FIT関連は、制度の見直しにより今後の新設ほぼ不可能と理解しているので略します。
この関連を広範に理解しようとした背景には、日本の木質バイオマスサプライチェーンがFITによって大混乱したり、制度を悪用して(環境や地域への貢献がないのに)大規模施設が乱立する可能性を危惧したことがあります。

■住宅の省エネ化の経緯、制度や仕様

『求める断熱レベルとめざす省エネレベル』

『本音のエコハウス』
高気密化への経緯。脱帽の内容。第一人者が誠実、正直に取り組んできたことを公共の知にしてくれています。具体的には、特に気流止めについて理解のこと。

『よくわかる最新断熱・気密の基本と仕組み』
各種の気密施工のパターンや各種断熱材の性質について詳しいです。実務者必読。

『最高の断熱・エコ住宅をつくる方法』

『エコハウスのウソ』

『住宅づくりの新しい常識 高気密木造軸組住宅をもっと知ろう』

『図解エコハウス』

※温熱環境のリアルな内容は研修時にデータ(ログ)と図面を照らし合わせながらお見せします

※住宅の省エネ規制については今後の制度化される可能性がほぼなくなったので、いまさら要らないかなと思うところですが、パリ協定によって全世界全方面でのCO2削減を具体的に進めていかなくてはならない事情は把握しておいた方がよいと思います。特に自然資源に係る仕事をしている人は必須ではないかと。

■木質サプライチェーンについて

トーセン社長プレゼンテーション資料
カスケードを目指すならこれがゴールです、と言ってよいくらいの内容。実践。

『木質バイオマス事業 林業地域が成功する条件とは何か』

『木質バイオマス熱利用でエネルギーの地産地消』

リアルな話 自伐型林業 中島健造さんのFacebook
一見活況づいている上流、実態は惨憺たる状況。各現場の写真つきで詳細な解説。要フォロー。
我々、サプライチェーンの最下流でビジネスをしている者たちに何ができるだろう。

※LCAで環境負荷を理解することは重要 文献挙げてませんが。下の方に挙げたBINの泊さんのプレゼン資料の中に、各種のバイオマスのLCA(CO2)が紹介されていて重要です。最近はあまり話題になりませんが、ウッドマイレージに関する本も一読してみるのをお勧めします。ウッドマイレージとウッドマイレージCO2で比較すると、輸送手段で負荷が大きく異なることがわかります。

■工事関連

『サクッとわかる 木造のつくり方』
貫通部の処理について掲載写真を参照してください

再掲 『よくわかる最新断熱・気密の基本と仕組み』
絶対に役に立ちます!というか知らないとダメ。熟読してください。壁貫通を伴う機器の後付工事の難易度が高いことにも触れられています。

『建築材料が一番わかる』
素材や電触について。ほかにちょうどよい資料がないのでとりあえず。

便利グッズいろいろあり。文献無いが。メンテナンスやトラブルシューティングでも役立つ。

■換気・気密

「日本住環境 製品カタログおよび工事仕様書」
とても親切な図解あり。換気の実際の流量はこうして実測できるという事例も。うちでも機器を住環境さんから借りてピトー管と差圧計にて実測してみました。

「シックハウス対策のための 住宅の換気設備マニュアル」
1種の定義を要確認

ジャパンホームショーでの有識者プレゼン
換気と病気の罹患の相関(ショーでの講演中に私的に記録したもの。一般公開されていませんがとても重要なエビデンス。講習会では画像で紹介)日本ではいまだに「24時間換気の強制なんて余計なことしやがって」と考えている関係者がわんさかいます。事実に向き合いましょう。

■推奨工事基準、関連する法律、条例について

「家庭用木質ペレットストーブ設置推奨基準 日本ペレットストーブ工業会(ver.2018)」
いうまでもなく必読。かつてPCJで制作したものをベースに、工業会発足以降に主にメーカー会員間の議論を経て現時点の到達点。”ペレットストーブ”というカテゴリーは法・制度的には存在しないので、既存のものを解釈することになり、実態にそぐわないこと、グレーゾーン多々ある悩みが行間に。
※だから、ペレットストーブの省エネ機器認定のタイミングに合わせ、業界で協力して一致点を見出し、それを元に国土交通省、経済産業省、消防庁との交渉に臨もうという計画だったのですが。

■木質バイオマスを慎重に扱うべき論拠となる海外の最新動向

「欧州の過ちから学ぶ森林バイオマスエネルギー」

「気候変動と持続可能なバイオマス利用~土地利用転換・BECCS・森林の炭素蓄積機能に関わる国際的議論の動向~」

「バイオマス利用の動向 2018年-2019年」

「森林バイオマスの燃料利用をめぐる世界の動向」

「森林バイオマス生産の現状とその影響―アメリカ西海岸の事例から」

「木質バイオマスエネルギーの持続可能性とFIT」

「バイオマス白書」バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)のホームページ参照。白書のほか、過去の研究会のレジュメが掲載されています。とても勉強になります。
ストーブ関係者は木質バイオマス産業のサプライチェーンの最下流にいながら、こうした動向や知識、そして人的つながりが希薄で、認識が共有されるのに大きなタイムラグがあります。新分野の設備屋としてしか自らを認識していなければ余計な話かもしれませんが、木質バイオマス産業に携わる以上、社会的起業家としての志を持っていただきたい。本気でやろうとする方は、ぜひこうした領域にも関心を持ち続けてほしいと願います。いろんな関係性や経緯があって現在と未来があるのですから。

■木質バイオマス

『バイオマスは地球を救う』

『ヨーロッパ・バイオマス産業リポート』

『バイオマス 本当の話』

森林のルネサンス

森林未来会議
この本は出版されたばかりでまだ読んでいません。ごめんなさい。目次を見ただけでめっちゃ重要な内容であることがわかります。挙げておきます。

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