トーセンさん訪問記

20160609_114548_R(以下、書きかけですが、とりあえずアップします)

先日、東京ビッグサイトで開催された「2016環境展」では、木質バイオマス発電(FIT)、熱供給などの自分の今後の展開したい領域の展示とセミナーが目白押しでした。

5/26日に開催された記念セミナーで、株式会社トーセンの東泉社長の講演に関心を持ち、昨日見学させていただきました。

お話の中で、

20160609_120058_R「木質バイオマス発電所を2つ運営しています」

「廃校を借り受け、製材所と発電所を作りました。地域の電力の8割を賄うだけの発電量です。駅も高速道路もない地域です。雇用の受け皿にもなっています」

「木の駅を作り、持ち込まれた木を買い取っています」

「買い取りには地域通貨で支払い、地元資本の店で3回使えて、最後に商店に対し商工会が換金します」

「柱や集成材で徹底的に木材製品を製造することを前提に、カスケード利用しています」

20160609_132919_R20160609_133357_R「熱は隣の外壁材工場に販売し、余りでマンゴー栽培、うなぎの養殖をしています」

「倒産した製材所を吸収して、そこで働いていた人たちもうちで働いています」

次から次へ「まさにそれが答です」と反応したくなる実践のお話が出てきます。

「関心を持ち」なんてものではなくて、ホンネは「度肝を抜かれた」のでした。

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事業のそれぞれが独立しているのではなくて、総合的に価値を高めることにつながっている。それが肝だと思います。

日本で周回遅れでやっと始まった木質バイオマス発電のFITは、「どうすれば林業と木質エネルギーがうまく回るか」という観点と現状が軽視されたか誤解されて、残念ながら使いにくい制度、マテリアル利用と発電利用を最初から競合させる制度になってしまいました。海外で失敗の上に是正されてきたのを踏まえなかった(どうして?)。そもそも周回遅れなのに。
欠点を補完するために発電はしない熱供給のみを行う木質ボイラーも持っていると、FITで使うと違反になってしまうが有用な材をそちらで受け入れることができます。全体がうまくいく仕組みが確立している。脱帽しました。

東泉さんの講演でのお話の中で、「ペレットも作ったのだけど売れない」と、ペレットに関する言及が若干あったので、ペレット仕入先の多角化と品質向上に取り組んでいる私としては、ペレットの商談もさせていただきたくてお邪魔しました。

たぶん、木質バイオマス業界では、トーセンの多角的な経営はよく知られているのでしょう。しかし、私は知りませんでした。お恥ずかしい。

もうこうなったら行くしかない。

お話の中で「本を出してみたい」とポロッとこぼされたので、20年近くお世話になっている出版社(ほんの木)高橋社長にも今回同行をお願いしました。行政主導で木質に取り組んでいる地域は増えていますし、知られています。ですが民間主導でここまでやっているところは非常に稀です。興味深い先行事例なので、環境や市民社会関連の本を多数出版してきたほんの木さんに一緒に行ってもらいました。

以下は、文章にまとめようと思っていることの箇条書きです。
いつも「書く書く」詐欺をやってしまっているので、せめて箇条書きだけでも。。。
見学で見聞した内容と自分の主張のごちゃまぜです。記憶が薄れないうちのネタ備忘。

“地元”こだわりでは難しい知識と経験の集積。先行の重要性 産業の知識化評価されるべき(ドイツのFIT制度の変遷・柔軟性。オーストリアの木質機器の性能の優位性と地域への浸透。デンマークの第4世代熱供給。知識化で決定的に後塵を拝し続ける日本。岩盤規制の数々)

補助、FITほか制度への適合

発電所の運営、経営

地域ぐるみで初めて完成する。

供給先としての北関東の平野部の住宅地

木質エネルギー(ペレット、チップ)とエネルギー代金の好循環

ウッドマイレージだけでなく、ウッドマイレージCO2もとい木質バイオマスマイレージ(およびCO2)を考えるべきだが、それはバイオリージョナルで。

ぼくのプランBは

Food 30km圏

Care 10km圏

Energy 50km圏 (これは無理だけど)

というもの。

 

カスケードの完成形

チップも、ペレットも用途ごとに使い分け

高品質なチップ 外販 (高く売れる)

低質チップ 内部 水分の多いものも燃やせる配合、燃焼条件の確立

集成材プレーナー屑を原料にすると接着剤の混じったペレットになるので、それは自社燃焼で。質のよいペレットを外販(ストーブ)に。(規格準拠の可否、汎用性があるかどうかはこちらで検討する)

現場の実状に合わないFIT制度

森林経営計画などの対象として認定されている森林から切り出した材でなければ「未利用材」とならない。雑多な木が持ち込まれる場合、電力の買い取り価格が下がってしまう。

なんでも燃やせる設備があると対応の幅が広がる

出来高払いの切り出し 不安定な仕事

「毎日仕事があること」経営者の仕事

変動する木材市場の価格 固定価格での買い取りが最上流を安定化させる

再生産可能な価格

 

内橋克人さん提唱の「FEC自給圏」 Food、Energy、Care

三位一体なのだろうが、特にEnergyでの障壁が大きかった。私はEnergyには、広義には“産業”が含まれると解釈しているが、それが、できない(難しい)。山地、林地は、林業の複合化(素材生産とエネルギー)・高度化(制度の運用、難度の高い技術の確立)・多角化(関連するいろんなことをやる)による産業創造しかない。ない袖は振れないのだ。

今後の日本社会では、ストックは破綻を覚悟。フローでFECを準備していく。

大型木質FITの見通し。素材生産量、増産の見通しとの関連は?

既に、良質なチップは入手しづらい。木材産業による、カスケードによるペレット生産への設備投資よりも、大型FITに持ち込む方がラクに儲かる。ペレットの裾野が広がりにくい、ストーブが普及段階に入っても、良質でリーズナブルな価格のペレットが安定供給されない可能性。

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